01CHAPTER
PROJECT 01
限られた仕入先は手一杯。
ならば今までになかった
新たな道を切り拓け!

大手ゼネコンが手掛ける、大型のトレーニングセンターの建設。有名建築設計事務所のデザインによる、業界でも注目を集めたプロジェクトで、特殊な形状の鉄骨が必要とされていた。しかも、国内に数十社しか存在しない国土交通省認定の最上位ランクのファブリケーターからの鉄骨の供給が必須条件となっていた。しかし、資格を満たす企業は全て生産が逼迫しており、供給の依頼を断っていたのである。

このままでは納期までに竣工することができない。窮地に立ったゼネコンから支援要請があったエムエム建材担当者は、グループネットワークを活用し可能性を模索したところ、国土交通省の認定を取得している中国のファブリケーターから仕入れることを選択肢の一つとした。海外での製作及び輸入は、エムエム建材としても初の試みだった。ゼネコンの担当者と共にすぐに中国に出張し、交渉を開始。確認すべき項目が仔細に検討された。

契約は無事に成立し、鉄骨の製作がスタート。国内とは異なる様々な課題に直面し、何度もコミュニケーションを取った。その苦労は実り、全量の出荷を確認できた時、ホッとすると共に「お客様のニーズに応えることが出来た」と改めて感じることができた。根からの商社パーソンなのである。

PROJECT 02
Yes, But…で切り抜けろ!
「できます」と言ってから、
方法を考えていく。

エムエム建材では、通常は一人の営業が複数のプロジェクトを同時に動かしている。一つ一つのプロジェクトには、それぞれ1年以上の年月を費やす。プロジェクトによっては、数年がかりになるケースもある。そうした数多くの案件の中には、最初から金額や納期、品質、あるいはそれらが重なった無茶な依頼も存在する。他社では断るレベルのオーダーにも、エムエム建材は決して「No!」とは言わない。もちろん、損失を承知でどんな案件もそのまま請けるという訳ではない。YES! BUT…最初から「できません」とは言わず、「こうなら…」と、交渉や代替提案を通じて「無茶」を「妥当」に、「損」を「益」に持っていこうとする考え方が根付いているのである。

相手がどんな理由で優先順位を判断しているのか? 価格なのか、納期なのか、品質なのか。そのポイントと背景を探ることから事態は動く。最優先事項の変更は無理でも、他の要求項目は変更できるかもしれない。そこでの要求レベルを下げられれば、最優先項目も「無茶」ではなくなる可能性が出てくる。相手の納得する代替案を捻り出すには、相当の経験とそこから得た引き出しが必要になる。経験を重ねるごとに応えられる要求のレベルが上がる。だからこそ、この仕事は面白いと言えるのではないだろうか。

PROJECT 03
最悪、何十案件分もの
利益が吹っ飛ぶ世界。
失敗は許されない。

商社はマージン(粗利益・手数料)で成り立っている。様々なオーダーに応えることができる独自の仕入先や流通網、そして専門性の高い情報・サービスが生み出す「手数料」。エムエム建材の場合、商流全体の取引額から見れば、ほとんどの案件で手数料は数パーセントに過ぎないが、それでも高額な鉄鋼製品や鉄鋼材料ゆえ、一つの案件が予定通りに完結すれば利益が残る。問題は、こちら側が過失を犯して大事になった場合だ。ちょっとしたミスが大幅な納期遅延を引き起こし、お客様に多大な迷惑をかけてしまうと、利益を上回るペナルティが課せられることにもなりかねない。最悪は、取引総額を補填しなければならないケースも考えられる。

この「ちょっとしたミス」。キャリア数年の若手社員が時々引き起こしてしまう。新人の頃の緊張感がなくなり、実績を挙げ出した頃に自らを過信し、慎重さを欠いてしまうからだ。でも、先輩たちには折込済み。ちょっとしたミスを、ちょっとした段階にあるうちに気づいて、対策を施し、チーム全体で結束してリカバーしていく。自分たちも辿ってきた道だからだ。ミスを犯した若手社員は背筋の凍る思いをし、先輩たちのフォローに心底救われる。そして、本物の実力を持った商社パーソンにグッと近づくのである。