契約を軌道に戻していく。
完成時に必ず報われるから。
K.K
奥の深い仕事
新卒で入社してから3年弱、私は鉄鋼メーカーから材料を仕入れ、鉄骨加工業者であるファブリケーターに販売する営業職を担当しています。すでに一人で客先に営業していますが、まだまだ先輩たちのレベルには追いついていません。先輩の中には、ほとんど客先を訪問していないのに、多くの取引先から「彼には絶大な信頼を置いている」と評価されている先輩がいます。一方で、客先を訪れると大歓迎され、打ち上げの席などにも必ず呼ばれる人気者の先輩もいます。その先輩は明るく大らかに見えて実は仕事の進め方は緻密だったりします。つまり、弊社で成功する営業スタイルは、一つのパターンではないのです。
私は自分の営業スタイルを模索中である上に、まだまだ自分だけでは担当する業務量を回し切れていない半人前です。入社して3年弱が経ち、改めてわかったのは、奥が深い仕事だということです。30歳になるまでには、自分に合った営業スタイルを見つけて、先輩からもお客様からも一人前として認められたいですね。
代替案を提示できてこそ一人前
商社の存在価値ともリンクするのですが、この仕事の最も難しいポイントは契約をスムーズに履行させることです。実際に契約通りに納入が進まないことが時々発生し、その対応を図るのが私たちの重要な役割の一つになります。
例えば2019年の話になりますが、首都圏を大型の台風が通過してメーカーの工場が破損、原料が納期に間に合わない事態が発生しました。また、別の日には、ファブリケーター側の図面トラブルで発注が1週間遅れた際に、想定外の遅延に工場側が対処し切れず、3週間の納期遅れが発生しました。いずれも私に起因する納期トラブルではないのですが、それでも間に立って商流を調整するのが私たちの役割です。代替案を提示しトラブルを最小限にできなかった私たちの責任でもあるので、いずれのケースもファブリケーターに指摘されてしまいました。それほどまでにリスク回避策を常に考え、二の矢・三の矢を準備しなければならない、重要な役割を私は担っているのです。
鉄鋼専門商社
他の商社の営業の中には、扱う商材やプロジェクトの規模、仕事のスタイルなどの影響で、自身が扱った商材が最終的にどのような製品として世の中に出たかが見えていないケースも少なくないのではないかと思います。その点、私の担当部署の商材は、使用される建設現場が決まっているので、どんな建造物に結実したのかがはっきりとわかり、竣工後にも目にすることが可能です。
また、納入先のお客様やゼネコンの担当者との間にも、一緒に建物をつくっている仲間だという意識があり、完成時の達成感を共有させていただけます。納期トラブルを起こしてしまった時のファブリケーターの担当者からも、建物の躯体が完成した時に行われる上棟式の打ち上げの際には「ありがとう、あの時はよく頑張ってくれた」と感謝されました。
私はこれまでに物流の大型倉庫の建設を数件ほど手掛けてきました。その全てに竣工までの様々な出来事がありました。当時は辛いと思う場面もありましたが、竣工した建物を見ると、やはり大きな感慨があります。
本物の商社パーソン
商社と聞くと、華やかな世界を想像されるかもしれません。颯爽と顧客の待つビル街を歩いていたり、商談で海外出張をしたりするシーンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。弊社の様子はそれとはちょっと異なります。
まず、デスクワークが多い。オフィスでは、図面や資料の整理、見積書の作成などにかなりの時間を費やしています。それに、お客様となるファブリケーターは地方に本社や工場を構えていることが多く、実にローカルな仕事です。時には取引先の社長の言葉が方言のために、何をおっしゃっているのか電話では聞き取れないこともあります。あるプロジェクトでは、方言を聞き取れずコミュニケーションがうまく取れなかったことから、お客様の機嫌を損ねたこともありました。それでも誠心誠意接することで、「今後はお前に任せた」と言ってもらえるほどに、関係を構築できたこともあります。この仕事は、ただ単に給料をもらうためにやっているのではありません。人と人の信頼で成り立つ仕事だと心から思えるから、私はここで成長していきたいのです。