鉄鋼専門商社の一員だと
自負しています。
A.W
商社の本質に迫りたかったから
就職活動で商社を志望したのは、工場や製品、店舗といった設備等を持たずに、人で勝負する業種だと思ったから。そう考えていたこともあり、入社後は商談業務や受発注業務を行っていくのだろうと、勝手に想像していました。ところが、入社後の配属先は財務部。予想もしなかった部署でした。それから7年半ほどを財務や経理などを担うコーポレート部門でキャリアを積みました。最初は自分にできるのだろうかと戸惑いましたが、OJTで数字の見方や専門知識を学ぶことができました。しかし財務・経理部署での業務の中、営業の方々と話す機会が多くなればなるほど、今の立場では契約交渉や受注に至った背景など現場感がわかっていないことに気づくように。このままでは商社ビジネスの真髄に触れることができない。そう考えて営業部門への異動願いを出しました。
意識はまったくない
異動願いは受け入れられ、入社8年目の10月に、私は営業部門へ異動となりました。職務内容は、お客様であるファブリケーターから建材用の鉄骨材料の注文を受け、その内容を鉄鋼メーカーに正確に発注する受発注業務。お客様の希望納期とメーカーの製造日程が合うか確認する納期調整業務。納入に際して物流会社に依頼をかける納入手配業務などです。お客様と価格や数量を決める商談を行って契約を取り付けるのは営業担当の役割なので、私たち業務職はお客様先に足を運ぶことはほとんどありません。しかし、配送するためのトラックを確保するために、お客様やメーカー、物流会社との間に立って厳しい調整交渉を行うことはあります。業務職が立ち回ることで物事をスムーズに進められるケースが少なくないことから、営業のサポート役という意識ではなく、営業と二人三脚で商売をつくる仕事だと自負しています。
本当のコミュニケーション力が求められる
納入が手こずることになる原因は多々あります。メーカーの生産が間に合わない時、納入時期が重なってトラックの必要台数が用意できない時、お客様からの発注に漏れがあった時など千差万別です。中には、自分がどれだけ注意していても、防ぐことができないトラブルもあります。私は心配性な性格ということもあり、事前にしっかりチェックを行うことで、そのリスクを回避するよう日頃から気をつけています。それでも、納入が手こずることはあります。当初のスケジュール通りにいかない状況に陥った場合、当事者として調整のために真剣に動きまわります。ここで求められるのはコミュニケーション力です。お客様は納期優先で追加コストがかかっても良いのか、それとも納期遅れよりもコスト増の方を避けたいのか。メーカーはいつなら確実に出荷できるのか。積載量や指定時間などを鑑み、どんな条件ならトラックを揃えることができるのか。相手との会話やメールで細かな条件をしっかり聞き出し、計算しながら的確に段取りを組み指示を出していくことが、イレギュラーな事態が起こってしまった時の、唯一の解決方法。コミュニケーション力と対応力が試される時です。
納入が終わって入金を確認し、一つの契約が完了しても、私たちが供給した建材を使用する建物はまだ竣工前であることがほとんどです。契約が完了した後でも、やはり建物が完成する時は、気になります。納入で手こずり、物流会社の担当者と協力をし合いながら何とか乗り切り、お互いを労ったような案件は尚更です。もしも、地元で大きな商業施設や病院などが建てられ、そこに弊社が建材を供給できたなら、自分が鉄鋼商社の一員として重要な役割を担ったことを、親や友人に胸を張って伝えたいですね。
私自身、まだまだ建材に関する知識は足りないと感じています。一方で、今後は多様なファイナンス契約が求められるかもしれません。その時は財務経理で培った知見を活かし、商談をバックアップしたいと考えています。これからも、いろいろなことを吸収しながら出来ることを増やし、私らしい会社への貢献の仕方を追求していきたいと思います。